グローバル・ビジネスの新地政学 (11)

バングラデシュが歩み始めた途上国成長の道

執筆者:森山伸五 2012年4月5日
エリア: アジア
労働意欲の高い作業員たち(c)AFP=時事
労働意欲の高い作業員たち(c)AFP=時事

「ポスト中国」の生産拠点はどこか? 工場の中国脱出の動きが活発化している。言うまでもなく、中国の人件費急騰、人民元高、若年労働力の不足が主な原因だが、中国の社会不安、政治リスクも他のアジア諸国への生産拠点分散につながっている。候補になっているのはタイ、ベトナム、インドネシア、インドなど多数あるが、ここに来て注目されているのはバングラデシュだ。1億5000万人という人口の大きさ、国民の54%が25歳以下という若さが魅力となっている。   バングラデシュはインド、パキスタンが英国の植民地支配から独立した際にパキスタンの一部(東パキスタン)となったが、ベンガル人の伝統、文化、言語を重視する国民が多く、主導権を握った西パキスタン(現在のパキスタン)との関係が悪化。戦争を経て、1971年に独立した。イスラム国家だが、イスラム教への帰属感以上にベンガル人としてのアイデンティティの方が強いといわれる。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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