インテリジェンス・ナウ

イラク新憲法が情報機関を重視 それでも拡大やまぬテロ活動

執筆者:春名幹男 2005年12月号
エリア: 中東 北米

 イラクでは国民投票で新憲法が承認され、日本では自民党が新憲法草案を発表した。 人種も文化も異なる異質な国の憲法と草案であり、違いの指摘は意味がない。だが、イラクの新憲法を読んで、わざわざ情報機関の役割を明記しているのを見つけ、驚いた。 イラク憲法第九条一項のdで、(1)「イラク国家情報局」(INIS)は情報を収集し、国家安全保障への脅威を評価、イラク政府にアドバイスする(2)文民統制で行政府の監督下に置く(3)法および人権の原則に従って運営する――としている。 現在の泥沼状態を脱するためには情報機関の任務が重要であるのは明らかだ。それと同時に、INISは旧フセイン政権の情報機関「ムハバラト」が犯したような人権侵害を繰り返さない、と約束しているのである。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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