「習近平」との会談で垣間見えた「スー・チー」の政治的思惑

執筆者:樋泉克夫 2015年6月19日
エリア: アジア

 6月11日、ミャンマー野党のNLD(国民民主連盟)を率いるアウン・サン・スー・チーは、北京で習近平国家主席との会談に臨んだ。ただし、その際の習主席の立場は国家主席ではなく共産党総書記。それというのも、この会談はNLDと共産党との政党間交流の一環として行われたからである。それにしても、彼女をミャンマー民主化の象徴として捉え、オバマ米大統領自ら2回もヤンゴンの彼女の自宅を訪問したことを考えると、ミャンマーの民主化を中国離れに結び付けて捉えているであろうオバマ政権にとって、彼女と習主席との握手シーンは悪夢と思えたのではなかったか。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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