インテリジェンス・ナウ

対ギリシャ「情報工作」を強化するロシアの狙い

執筆者:春名幹男 2015年7月30日
エリア: ヨーロッパ

 ギリシャの「チェ・ゲバラ」とも、「チャベス」とも呼ばれるアレクシス・チプラス首相。思想的には、明らかに欧州連合(EU)より、ロシアに近い。
 多数の旧共産党員らを抱える与党「急進左派連合」。2年前このグループは北大西洋条約機構(NATO)脱退を主張していたが、それ以後NATOへの敵対姿勢をトーンダウンして、現実的側面も見せている。
 当面ギリシャは、財政破綻とユーロ圏離脱の危機を回避したが、前途はなお多難だ。
 かつて「NATOの柔らかい脇腹」などと呼ばれたギリシャは、西側の前線に位置し、東西冷戦時代から東西の情報機関が相まみえる現場となってきた。
 現在は、金融支援をめぐる厳しい交渉の裏で、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の対外部門を引き継いだロシア対外情報局(SVR)やロシア軍参謀本部情報総局(GRU)がギリシャでの活動を増強していると伝えられる。プーチン大統領は一体、何を狙っているのだろうか。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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