現実味を帯びてきた中国の「新・海陸シルクロード」計画
最近、幕末から明治期に中国を歩いた日本人の体験記を集中的に読んでいるが、当時の人々の視点を通して現在を考えることの面白さを感じている。
たとえば明治前半、日本人が行く先々の街、それも北京とか上海などの大都会のみならず沿海部の地方都市でも、すでに10年も20年も住みつき中国人社会に溶け込み、中国語を自由に操るイギリス、フランス、ロシア、アメリカ、プロシャ人などの商人や宣教師がいたこと。明治も半ばを過ぎる頃になって初めて内陸部に足を踏み入れるようになる日本人が知ったのは、安くて頑丈であるからとドイツ製品が尊ばれていたこと。前者でいうなら、こと近代の中国進出に関しては日本は欧米列強に較べ後発組であったこと。後者は現在の中国とドイツの経済関係を暗示しているようにも思える。加えるなら、現在の日本で見られる中国批判の“原型”が、すでに見られていた――などである。

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