欧州で急成長「ポピュリズム」の本質を知る

熊谷徹『欧州分裂クライシス ポピュリズム革命はどこへ向かうか』(NHK出版新書)

執筆者:磯山友幸 2020年4月18日
カテゴリ: カルチャー
エリア: ヨーロッパ

 どう考えても、経済的に大損失になる欧州連合(EU)からの離脱に踏み切る国はない、というのが長年の私の考えだった。

 私が欧州に新聞社の特派員として駐在したのは2002年春から2006年の秋まで。ユーロの紙幣と貨幣が導入された直後で、EUが東欧へと広がっていく熱狂の真っ只中にいた。国境は日本の県境のように、物理的には姿を消し、巨大統一市場の誕生に沸いた。それから15年、まさか本当にEUから離脱する国が出てくるとは思わなかった。

「ブレグジット」こそ象徴

ドイツに30年暮らし、欧州を見続けてきた筆者が指摘する「分断の危機」とは……

 本書『欧州分裂クライシス ポピュリズム革命はどこへ向かうか』(NHK出版新書)の著者である熊谷徹さんは、NHKの記者を経て、1990年に早々とフリージャーナリストに転じた人だ。以来30年にわたってドイツ・ミュンヘンに住み、取材・執筆活動を続けている。

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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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