少数民族のロシア連邦――「ロシアンティー」の源流をたどる旅3|タタールスタン共和国

執筆者:徳永勇樹 2021年8月7日
タグ: ロシア
ライトアップされたカザンのクル=シャーリフ・モスク ©時事
中国から欧州にいたるかつての交易路「茶の道」をたどりつつ、ロシア連邦内の少数民族の現状をレポートする。カルムイク共和国、ブリヤート共和国という二つの仏教国に続いて訪れたのは、イスラム教徒が多く暮らすタタールスタン共和国。

 

ロシアで最大の“少数民族”

 タタールと聞いて読者の皆さんは何を思い浮かべるだろう。タルタルソースや、タルタルステーキ(生肉)、韃靼そばなどだろうか。あるいは高校の世界史で「タタールのくびき」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれない。いずれにしてもあまり馴染みがないという人のほうが多いと思うが、実はタタール人は、ロシア連邦ではロシア人に次ぐ人口を抱える最大の“少数民族”で、全国に約800万人が暮らしている 。(なお、タタール、韃靼は時代や場所により様々な民族のことを指しており、文中ではタタールスタン共和国の基幹民族たるヴォルガ・タタール人を指す。)

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
徳永勇樹(とくながゆうき) 食客/東京大学先端研創発戦略研究オープンラボ(ROLES)連携研究員。1990年7月生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。英語・ロシア語通訳、ロシア国営放送局スプートニクのアナウンサーを経て、2015年三井物産株式会社入社。4年半の鉄鋼製品海外事業開発、2年間のイスラエル留学を経て、社内シンクタンク株式会社三井物産戦略研究所にて政治経済の分析業務に従事。商社時代に担当した国は計100か国以上 。2024年7月末に退職しプロの食客になる。株式会社住地ゴルフでは、一切の業務が免除、勤務地・勤務時間自由という条件のもと、日本と世界の文化研究に専念する。G7及びG20首脳会議の公式付属会議であるY7/Y20にも参加。2016年Y7伊勢志摩サミット日本代表、2019年Y20大阪サミット議長(議題: 環境と経済)、Y7広島サミット特使を務めた。新潮社、ダイヤモンド社、文芸春秋社、講談社、The Mainichiなどで記事を執筆。2023年、言語通訳者に留まらず、異文化間の交流を実現する「価値観の通訳者」になるべくCulpediaを立ち上げた。
  • 24時間
  • 1週間
  • f