近年、男性に関わる「美」の意識が、男性だけでなく女性のなかでも大きく変化しつつあるようです。今回の分析では生活者調査に加えてJ-POP/K-POPグループの画像やソーシャルデータなどをデータ可視化し分析することで、2024年のヒット予想を探ってみました。みえてきたのは、「自分と推し」「自分と他者」の境界を曖昧にして、相手と同じように美しくなろうとする男女の姿です。
生活者による2024年ヒット予想
筆者が研究員を務める博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)では毎年、生活者が選ぶ翌年のヒット予想をまとめています。今年世のなかで注目されたと思われる商品やサービス、コンテンツなどを生活者に提示し、「2024年以降、ヒットしそう/話題になりそう」と思うかを調査したものです(詳細はこちらでご覧いただけます)。調査結果では、たとえば「夏祭り/盆踊り/花火大会」が上位に入っていました。誰が予想していたのかを知るために、女性と男性それぞれの年齢層別ランキングをみてみましょう。
ご覧のように「夏祭り……」は性別問わず、すべての年齢層で10位以内にランクインしています。特に着目したいのは、10代の男女でヒットを予想した生活者が多かったことです。予想理由の回答をみてみると、
「今年はコロナ禍が明けて初めてのお祭りだったが、来年からはもっと自由に開催できると思うから」(19歳女性・学生)
といった声があり、若年層からの夏祭りなどに対する期待が大きい様子がうかがえます。少子高齢化でお祭りや花火大会の存続に悩む地域にとっては、明るい結果かもしれません。
「メンズ美容」のヒットは女性が予想
では逆にこんな問いを立ててデータをみてみましょう。全てではなく特定の年齢層だけで多く挙がるヒット予想や、男女の順位が私たちの想定と逆になっているヒット予想はないのでしょうか? たとえば「メンズ美容」はどうでしょうか。
「メンズ美容」は男性用の化粧品から脱毛ほかエステまで男性用美容全般を含み「身だしなみを整えたい」「同性・異性に受けたい」「自分の気分を高めたい」といった目的で利用されているとされます。この「メンズ美容」を2024年のヒットとして予想している生活者は誰なのでしょうか。データを観察するとやはり若い年齢層で上位に入っていますが、性別をよくみてみると、少し意外な結果であることがわかります。
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