[ロンドン、ブダペスト発/ロイター] 昨年12月、アイスランドで噴火した火山から溢れた溶岩の光の流れが引いたとき、誰もが喜んだわけではない。ロンドンに住む49歳の歯科医院経営者、ヘイゼル・レーンは、テレビで噴火の映像を見るや否や、溶けたような赤い空の下で壮大な溶岩流を見ようと、レイキャビク行きの航空券を予約した。
レーンは前月にもアイスランドを訪れていたが、あまりにも早すぎた。当局はその時点で近隣の町グリンダヴィークに住む約4000人の住民を避難させていたが、レイキャビクの南西約40キロに位置する火山が噴火した12月18日までには、まだ数週間があった。
「噴火している火山の上空を飛ぶために日帰りでレイキャビクに行くという、素晴らしいことを思いついたんです」。レーンは12月22日に息子とそのガールフレンドと一緒にやってきたが、溶岩の流れはすでに弱まっていた。「火山活動が停止してしまったのは残念ですが、レイキャビクで美しい1日を過ごすことができるでしょう」。
レーンが次の噴火を体験するまで、おそらく長く待つ必要はない。アメリカのケンタッキー州とほぼ同じ大きさで、人口が40万人足らずのアイスランドには、30以上の活火山がある。活火山はアイスランドを、メキシコやグアテマラからシチリア島、インドネシア、ニュージーランドまで、毎年何千人ものスリルを求める人々が訪れるニッチな観光地にしている。
グリンダヴィーク近郊の火山活動が低下したため、2010年に同島のエイヤフィヤラヨークトル火山の大噴火による火山灰で、旅行者が大混乱に陥ったようなことが繰り返される心配はなくなった。しかし、観光客を現地に案内しようと計画していた地元の旅行会社にとっては、チャンスを逃したことになる。アイスランド南西部のファグラダルスフィヤル火山が2021年に噴火した時には、何千人もの観光客が訪れたのだ。……
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