巨大地震の正しい理解――主要な「4種類」と生活への「脅威」|井出哲・東京大学大学院理学系研究科教授(2)
長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、地震が起こるメカニズムと生活圏への影響について、東京大学大学院理学系研究科教授の井出哲氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
日本は地震の活動期か
——日本はいま、地震の活動期に入っているのでしょうか。
「定量的に、活動期、静穏期を定義することは可能で、そのような統計手法はあります。ただ、実際の分析によって、日本列島全体が活動期にあるということを示しているようなものは、私の知る限りでは存在しません」
「確かに、1960年代から80年代にかけて、日本では不思議と巨大地震はあまり発生しませんでした。だからと言って、今が活動期かというと、特にそのような期間ではなく普通の時代なのかと思います」
——地震は、なぜ起こるのでしょうか。
「一言で言うと、プレート運動によって起こります。プレートとは、地球の表層の数十キロから200キロ程度の範囲を覆っている硬い岩の板のようなものです。ほぼ剛体(※)としてふるまい、地球の表面をゆっくりと移動しています。この現象をプレートテクトニクスと呼びます」
(※)剛体:外力で変形しないと仮定する理想的な物体モデル
「では、プレート運動はなぜ起こるのか。地球が誕生して間もないころ、地球は表面も内部も非常に高温でした。それが、長い時間をかけてだんだんと冷えていきます。冷えていく際に、地球内部で対流が発生します」
「この対流で地球内部が動くことにより、その表面のプレートも動く、というイメージです。つまり、プレート運動の原動力は、地球が誕生したころの『熱』にある、ということになります」
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