
古代エジプトと「肥沃な三日月地帯」の間には、かなりの遺伝的なつながりがあった[ギザの大ピラミッドの前を馬に乗って通り過ぎる観光客=エジプト・カイロ近郊](C) REUTERS/Mohamed Abd El Ghany
[ロイター]今回の研究は1人のゲノムのみに基づくものだが、古代エジプト人の遺伝史を読み解く上で貴重な手がかりとなる。エジプトの高温乾燥な気候の中でDNAは保存されにくく、分析は困難を極めてきたからだ。
研究チームは、男性の歯2本の根元からDNAを抽出した。男性の遺体は、岩をくり抜いた墓の中で、密閉された大きな陶器の壺の中に数千年にわたり安置されていた。男性が生きたのはおよそ4500~4800年前のこと。「エジプト古王国」と呼ばれる繁栄と安定の時代の始まりにあたる。ファラオの墓として巨大なピラミッドが築かれた時代でもある。
男性の遺体が納まっていた壺の発見は、1902年にさかのぼる。カイロから南へ約270キロのベニハッサン村近郊ヌワイラートの遺跡で発掘された。男性は死亡時におよそ60歳であり、遺骨の特徴から陶器職人であったことが示唆されている。

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