古代エジプト人の全ゲノムを初解読、異文化交流の痕跡が明らかに

2025年7月20日
タグ: 歴史
エリア: 中東 アフリカ
古代エジプトと「肥沃な三日月地帯」の間には、かなりの遺伝的なつながりがあった[ギザの大ピラミッドの前を馬に乗って通り過ぎる観光客=エジプト・カイロ近郊](C) REUTERS/Mohamed Abd El Ghany
古代エジプトで初期のピラミッドが建設された時期に生きていた男性の遺骨から得られたDNAが、2つの偉大な文化のつながりを示す証拠を提供している。この男性の遺伝的祖先の5分の1がメソポタミアに由来していたのだ。当時の二大文明につながりがあったことの新たな証拠となる。

[ロイター]今回の研究は1人のゲノムのみに基づくものだが、古代エジプト人の遺伝史を読み解く上で貴重な手がかりとなる。エジプトの高温乾燥な気候の中でDNAは保存されにくく、分析は困難を極めてきたからだ。

 研究チームは、男性の歯2本の根元からDNAを抽出した。男性の遺体は、岩をくり抜いた墓の中で、密閉された大きな陶器の壺の中に数千年にわたり安置されていた。男性が生きたのはおよそ4500~4800年前のこと。「エジプト古王国」と呼ばれる繁栄と安定の時代の始まりにあたる。ファラオの墓として巨大なピラミッドが築かれた時代でもある。

 男性の遺体が納まっていた壺の発見は、1902年にさかのぼる。カイロから南へ約270キロのベニハッサン村近郊ヌワイラートの遺跡で発掘された。男性は死亡時におよそ60歳であり、遺骨の特徴から陶器職人であったことが示唆されている。

カテゴリ: 医療・サイエンス
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