公設秘書の会社に約2000万円分の発注
維新・藤田共同代表「法的にはどこから切り取っても適正であるということは確認をしています。しかし、公設秘書が代表を務める会社に発注したという構図そのものが誤解や疑念を招くものであるという指摘や批判に対しては、真摯に受けとめたい」(11月4日の会見)
高市早苗総理の所信表明演説に対する各党の党首らによる代表質問などが始まった
国会論戦初日の今月4日、日本維新の会の共同代表・藤田文武は自らへの“疑惑”に対してこのように釈明した。
事の発端は共産党の機関誌『赤旗』の記事だった。
「維新・藤田共同代表重大疑惑 公設秘書側に公金2000万円」
『しんぶん赤旗日曜版』(11月2日)はこのような見出しで藤田の疑惑を取り上げた。
記事は藤田が自身の公設第一秘書が代表を務める会社に、「ポスター印刷代」や「ビラ印刷費」などの名目で政党助成金等の公金およそ2000万円を支出していたことが判明したなどと報じて、「身内への税金還流」の疑いが高まったと指摘している。
当初、藤田はSNSで「悪意のある税金環流のような恣意的な記事ですが、すべて実態のある正当な取引であり、専門家にも相談の上で適法に行なっているものです」と反論した。しかし、こうした藤田の姿勢に、維新の創始者である橋下徹元大阪市長は「ついに維新もこのような公金マネーロンダリング的なものを許すようになったか」(10月30日、橋下の「X」)などと手厳しく批判した。
そして、橋下と近い関係にある維新の吉村洋文代表が藤田に「丁寧に説明させます」(11月1日、吉村の「X」)と明言して、藤田の釈明会見に至った。
藤田は会見で「(皆様の)日本維新の会に求める“疑念を持たれることはするな”という声を真摯に受け止めて」この企業には発注をしないことを確約した。
そもそも連立入りに慎重だった大阪勢
今回の“税金還流”疑惑報道については2つの興味深い側面があると筆者は見ている。
一つは、これまでも自民党との連立に至る経緯の中で時折垣間見えた、維新内部の路線対立が明確になったこと。そしてもう一つは、高市が維新と合意した衆議院の比例選出議席を削減する「議員定数の削減」に危機感を持った共産党の逆襲だ。
「橋下さんは、藤田とその師匠の馬場伸幸(前代表)や遠藤敬(総理補佐官)ら、自民との連立を進めたメンバーとは距離があった。今回の藤田の件で、彼らに不満を持っている大阪の議員らの気持ちを代弁したのだろう」(政界関係者)
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