国際情報サイト

 

フォーサイト人名録

〜国際情勢の重要人物を徹底解説!〜
中国

張国清
ちょう・こくせい、ジャン・グオチン

副首相

1964年8月、河南省羅山県

長春光学精密機械学院(現長春理工大学)電子工程学部光学電子技術専攻(1981~85年)卒業、清華大学経済管理学院数量経済学専攻在職大学院生(2000~04年)、経済学博士

大学卒業後、中国を代表する兵器輸出企業「中国北方工業公司」で中東地域を担当し、1989~93年まで同社テヘラン代表処で総代表補佐を務めた。96年から同社副総裁(副社長)、99年に同社の親会社となる「中国兵器工業集団」が発足すると、副総経理(副社長)も兼務した。2008年には中国兵器工業集団総経理(社長)兼中国北方工業公司董事長(会長)を務め、国有企業の立場から、軍用機や戦車、ミサイル、レーダーなど兵器の現代化を推し進めた。

2013年、政界に転出し、重慶市党委副書記、市長を務め、18年には天津市長、20年に遼寧省党委書記と順調に出世を重ねた。22年の党大会では中央政治局委員に抜擢され、23年3月に副首相に就いた。

張国清は、軍系国有企業出身のテクノクラート「軍工系」の代表的人物。福建省や浙江省、上海市で勤務した習近平と直接の上司・部下関係はなく、「習近平色」は薄い。しかし、米政府がトランプ前政権からバイデン政権に移行しても、半導体など最先端技術に関して対中規制を強める中、習近平は「科学技術の自立自強」を政治スローガンに掲げ、民間技術の軍事転用を進める「軍民融合」に力を入れてきた。こうした中で、国有企業の現場で軍民融合を実行した張国清に早くから目を付け、政界で経験を積ませ、副首相に抜擢した。

副首相としての担務は科学技術のほか、安全生産、災害などの危機管理。2023年6月に上海を視察した際には「習近平総書記の重要講話と重要指示の精神を断固として貫徹させ、製造強国戦略を加速し、カギとなる核心技術の研究開発を加速させ、製造業のハイエンド化、インテリジェント化、エコロジー化を加速させなければならない」と指示した。

1964年生まれでまだ若く、次の党大会(2027年)でも昇格する可能性が高い。

(執筆・監修:城山英巳

  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top