究極の「後出しジャンケン競争」となった都知事選

執筆者:野々山英一 2011年2月7日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本
出るのか、出ないのか……(C)時事
出るのか、出ないのか……(C)時事

 東京都知事選(4月10日投票)が迫ってきた。投票まで2カ月あまりだが主要候補は、まだ正式に出馬表明していない。東国原英夫・前宮崎県知事、舛添要一・元厚生労働相ら、多くの名前が挙がるが、いずれも新聞辞令にとどまっている。  理由は、はっきりしている。現職・石原慎太郎氏の動静を見守っているからだ。選挙は通常「先手必勝」と言われる。先に態勢を整えた方が流れをつくる。だが、その常識は都知事選では通用しない。  常識を覆したのが12年前の石原氏だった。1999年の都知事選は大乱戦となった。自民党などが推す元国連事務次長の明石康氏が出馬。民主党側からは鳩山邦夫氏が名乗りを上げた。この他、舛添要一氏、柿沢弘治氏らも出馬し「誰が勝ってもおかしくない」選挙となった。ところが告示の約2週間前になって石原氏が出馬表明。話題を独り占めし、結局は2位の鳩山氏の2倍近い票を集めて快勝した。勝った石原氏も負けた陣営も、東京では「後出しジャンケン」が効果的になりうることを体感した。

「石原出馬」へ流れを変えた自民都議団

 さて石原氏は今回も出馬するのか。結論から言えば、立候補の可能性は、かなり高い。
 石原氏は4年前に3選を果たした時、4選を目指す考えはなかった。この4年間は、最大の目玉だった五輪招致に失敗するなど、目覚ましい成果は挙げていない。78歳という高齢も考えれば勇退するのが既定路線と考えられてきた。
 ところが、その流れを変えたのが自民党都議団だ。彼らの頭にあるのは2013年夏の都議選。09年都議選での大敗で少数与党に転落しているが、次回は、都議会第1党を民主党から奪還し、あわよくば議長ポストも奪い返したい。
 そのためには自分たちを支援する「都の顔」が必要だ。都知事選は、自民党都議団にとっては、自分たちの生き残りをかけた戦いなのだ。
 彼らは、早い時期から都知事候補の人選を行なってきた。小池百合子・自民党総務会長、猪瀬直樹・都副知事……。それなりに知名度はあるが、都知事としては線が細いし、敵も多い。
 結局、1周して石原氏に戻ってきた。過去3回の知事選で圧倒的な得票を得てきた石原氏。彼を上回る候補はなかなかいない。もう1期務めると任期を終える時は82歳になってしまうが、自民党都議らは「かつて鈴木俊一氏は84歳まで都知事を務めた」と意に介さない。それでも石原氏がしぶると「ならば次の都議選まで2年間だけ務めてもらい、後継者を立てて都議選・都知事選のダブル選をやればいい」という案まで出ている。2年後は、息子で現党幹事長の伸晃氏あたりを後継に担ぎ、石原親子に「石原軍団」まで総動員して都議選も有利にしようという構想らしい。ご都合主義的な発想ではあるが、都議らの再三のラブコールに石原氏も少しずつ軟化。あるベテラン都議によると「80%は出馬してくれるところまできた」。実際、自民党側は石原氏以外の新たな候補擁立の動きをピタリと止めている。
 いずれにしても石原氏の「出馬表明」は、まだ先になる。3月11日の都議会最終日あたりとなる可能性が高い。やはり今回も「後出し」になりそうだ。

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