「民・公連立」で飛び出した「小選挙区比例代表連用制」

執筆者:野々山英一 2011年9月22日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

「正心誠意」をモットーに、あらゆる野党と等距離に接している野田佳彦首相。しかし、この戦略は、いつまでも続くわけではない。野田氏は復興対策の第3次補正予算が成立した後は、公明党に対し重点的にラブコールを送る構想を描いている。早期解散・総選挙を求める自民党は、いくら努力しても連立に応じることはないだろう。逆に早期解散は避けたい公明党とは話がしやすいからだ。
 そして両党が接近するためのカードがひそかに練られている。選挙制度の改革だ。

「中選挙区」でも先細りの公明党

 現在の衆院選挙制度は、小選挙区300、比例代表180の並立制。この制度が導入されて政権交代可能な自民、民主の2大政党制が確立したが、その半面で「政治家が小粒になった」「少数意見が無視される」などの批判も多い。最高裁が前回衆院選での「1票の格差」を違憲状態としていることから、定数是正、区割りのやり直しも迫られている。
 公明党は長年、並立制の見直しを主張している。小選挙区制が中心の並立制は大政党に有利で、公明党ら中小政党は不利になる。公明党は前回、小選挙区の当選者はゼロ。比例代表で21議席を確保しただけだった。「今のままではやせ細っていくだけ」という思いは党内、そして支持母体である創価学会の共通認識になっている。
 公明党は1990年代後半から「3人区、定数450の中選挙区制」を主張。2大政党が2議席を確保しても「3つ目」を狙えるという発想だった。自民党側も野中広務氏ら実力者が賛同したが、実現はしなかった。最大の理由は「政治改革の象徴」でもある小選挙区中心の制度を変えることに民主党が猛反発したからだ。
 一方、公明党側も「3人区」への執着を失い始める。公明党の票田は、大阪を中心とした関西。だがそこでは、例えば橋下徹大阪府知事が率いる「大阪維新の会」のような新興勢力が候補を立てて議席を確保する可能性が高くなってきており、3人区でも議席確保のメドが立たなくなってきているのだ。
 そこで浮上したのが小選挙区比例代表連用制だ。
 仕組みは複雑なのだが、連用制では、小選挙区で多く勝った大政党は、比例代表の議席が制限される。逆に言えば「中小政党に配慮された制度」だ。だから公明党にとってはありがたい。仮に前回衆院選と同じ得票数だった場合、公明党は21議席よりも増やして30議席近く確保する可能性もある。
 民主党にとって連用制は有利な制度ではない。ただ小選挙区が300のまま維持できるという点で、中選挙区や、小選挙区比例代表併用制よりも乗りやすい。また比例代表の定数を削減して「小選挙区300、比例代表100の連用制」などのバリエーションも考えられるため、交渉の余地は大いにある。

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