「間違った判断だとか、意外だったとの声はあまり聞こえていませんね」 1月31日、定例の記者会見に臨んだ東京証券取引所の斉藤惇社長は、東証の自主規制法人が1月20日にオリンパス株の上場維持を決めたことについて質問されると、いつもながらの淡々とした口調でこう答えた。それが真実なのか、それとも斉藤氏の一流のおとぼけなのかは別として、東証と今の日本の証券市場が抱える問題を如実に示すひとコマだった。 実際、株式会社になって以降の東証の社長には、上場廃止を決める権限はない。営利企業である東証の利害得失が、企業の上場など市場の公正性を歪めることがないようにという判断から、東証から独立した自主規制法人がそれを行なうことになったためだ。その自主規制法人の理事長には元財務次官だった林正和氏が天下っており、むしろ規制当局である霞が関の影響力が大きい。
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