お呼びでない? サルコジ前大統領突然参上

国末憲人
執筆者:国末憲人 2012年8月21日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ヨーロッパ 中東

 在任当時から口は軽かった。前言を翻しても平気だった。とはいえ、政界引退からまさか3カ月で表舞台に戻ってくるとは、誰も予想しなかっただろう。しかも、とんだお騒がせ発言とともに、である。

 フランスのサルコジ前大統領が今月、頼まれもしないのにシリア反政府勢力代表と突然電話会談し、オランド政権に軍事介入を呼びかける声明を発表した。5月のフランス大統領選に敗れて政界から引退し、悠々自適の生活をしているはずの前大統領である。支持母体の右派からは支持の声が出ているものの、対する左派や中道は驚き、あきれている。対シリア戦略を練っていた外交当局は、突然の横やりに「二重外交になりかねない」と困惑している。

 サルコジ氏は8月7日夜、シリア反体制派の中核組織「シリア国民評議会」のシーダ議長と共同で短い声明を発表した。2人は40分にわたって意見を交換したことを明らかにしたうえで「状況はリビアのケースと同じだ。虐殺を防ぐために、国際社会が迅速な行動を起こすべきだ」と述べた。

 サルコジ氏は大統領在任中の昨年3月、米英などとともに多国籍軍を構成してリビアに軍事介入し、カダフィ政権を崩壊させた。これと同様の対応をシリアにもすべきだ、との主張である。当時リビア介入をサルコジ氏に働きかけたといわれる仏哲学者のベルナール=アンリ・レヴィ氏らが最近、シリアへの介入の必要性を訴える主張を展開しており、サルコジ氏の言動もこうした動きに乗ったものだとみられている。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
comment:2
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順