松下幸之助「新党計画」二十年目に明かされる真実

出井康博
執筆者:出井康博 2004年12月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

“経営の神様”は新党旗揚げを目前に世を去った。初めて明かされる内部資料をもとに、その全貌を描く。〈このたび私どもは、わが国が直面する容易ならざる危機的情況に鑑み、国内外に山積する諸問題を解決し、わが国に真の安定発展をもたらしうる政治の実現をはかるべく、新政党の結成を発意いたしました。以下にその発意に至る経偉の概略と新政党結成の趣旨を記し、心ある国民各位のご支持、ご参画を切望するものであります〉(原文ママ・以下同) 自民党の長期政権下にあった一九八五年(昭和六十年)、日本の政治をひっくり返そうと画策していた老人がいた。 松下電器産業創業者、松下幸之助。当時、すでに九十歳という高齢ながら、長年の悲願であった新党の設立を極秘に進めていたのである。冒頭に記したのは、その新党の準備段階でつくられた「設立趣意書」の一節だ。 新党で戦う初めての選挙は、八九年(平成元年)の参議院選挙を想定していた。消費税導入への反発やリクルート事件、時の首相・宇野宗佑の女性スキャンダルによって、自民党が過半数割れの大敗を喫した選挙である。この選挙で幸之助は足場を築き、翌九〇年の衆院選で政権に一気に近づこうと目論んでいた。

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執筆者プロフィール
出井康博
出井康博 1965年岡山県生れ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『THE NIKKEI WEEKLY』記者を経てフリージャーナリストに。月刊誌、週刊誌などで旺盛な執筆活動を行なう。主著に、政界の一大勢力となったグループの本質に迫った『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、『年金夫婦の海外移住』(小学館)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)、本誌連載に大幅加筆した『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『民主党代議士の作られ方』(新潮新書)がある。最新刊は『襤褸(らんる)の旗 松下政経塾の研究』(飛鳥新社)。
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