国際論壇レビュー
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習近平の軍掌握、安倍の「第3の矢」に危うさ見る世界

会田弘継

 ハワイの米太平洋艦隊司令部。太平洋とインド洋に展開する5空母機動部隊、180の艦船、2000の航空機を統括する。これらの艦船・航空機に時々刻々と情報を提供する仕事を受け持つ艦隊参謀副長(情報担当)のファネル海軍大佐は単刀直入に断言した。「中国海軍は戦争をする気だ……外洋へ乗りだしているのは海戦の仕方を学ぶためだ」――。

 米外交誌フォーリン・ポリシー最新号は、衝撃的な書き出しで中国人民解放軍の現状を分析する論文を掲載した。筆者は豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドの中国特派員ジョン・ガーノート。薄熙来事件についての著作を持ち、攻撃的な取材で知られる記者だ。中国国家主席・習近平は、どこまで人民解放軍を掌握できているのか――。世界が真相を知りたいと望むテーマに切り込んでいる。【Xi’s War Drums, Foreign Policy, May/June 2013

 

習近平の懸念

 習近平は昨年11月、共産党総書記に就任する以前から、広範に軍を視察し、軍幹部とのつながりを強め、権力掌握に備えた。習は若い頃に党中央軍事委員会で働いた。その頃、委員会副主席だった鄧小平が中越戦争を指揮することで軍首脳部を掌握し、党主席で軍事委主席でもあった華国鋒を追い落としていく過程をつぶさに観察している。「権力は銃口から生まれる」という毛沢東のご託宣の意味を、身にしみて知った。総書記就任前から尖閣問題で対日強硬策に打って出たのも、軍を掌握していくためにとった方策だった。鄧小平の中越戦争指揮に倣ったところがある。

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執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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