死者20人超の「ベネズエラ危機」を傍観する国際社会

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2014年3月12日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中南米

 ベネズエラのチャベス前大統領の死去から3月5日で1年がたった。政権を引き継いだマドゥロ大統領は、加速する経済の混乱と治安の悪化、反政府勢力との暴力的対立が激しさを増す中で、4月に就任1周年を迎えようとしている。

 2月12日の学生による抗議行動に端を発した反政府勢力と政権側の対立は、すでに犠牲者が20人を超す深刻な事態に至っており、治安当局や政府系の武装組織「コレクティボ」による反政府デモへの攻撃など暴力の拡大、反対派指導者の逮捕、言論の封殺、人権侵害の拡大に懸念が広がっている。

 政権と反政府の分極化は、すでに国内からの話し合い解決の余地を残さないほど深まっているが、国際社会の反応も鈍い。マドゥロ政権は、ウクライナ情勢に世界の関心が向けられることで援けられた感がある。ベネズエラ出身の国際コラムニスト、モイセス・ナイムが米アトランティック誌上で嘆いているように、ウクライナ情勢と比べベネズエラ危機の国際的波及力が弱いだけに、「ベネズエラの悲劇」はなお深刻であるとも言えよう。明らかにベネズエラの反体制派は国際社会から見捨てられている【リンク】。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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