「すまいるほーむ」ができるまで(上)「罪悪感」から始まった

六車由実
執筆者:六車由実 2014年6月7日
エリア: 日本

 4月中旬、春の外出行事であるお花見が済んで一息ついた頃、すまいるほーむでは、利用者さん同士が、6月に迎える村松社長の還暦祝いにどんな料理を作ったらいいかという話で盛り上がっていた。

 佐野ゑみ子さんが、「かやくご飯がいいね。おいしいからさ。でもお祝いだからさ、お赤飯もいいね」と提案すると、小川ハルコさんは、「両方あってもいいじゃないの。ところでさ、社長は何が好きなのかな、あんた知ってる」と社長の息子の健君に聞いている。「そうですね、エビとかカニとか甲殻類が好きですね」「エビか。ハルコさんがおひなまつりで教えてくれた桜エビの佃煮もいいよね」とゑみ子さん。

 社長の還暦をお祝いしようと、利用者さんの間からそんな話題が自然と出てきて、みんなで盛り上がっている光景は本当に微笑ましい。

 これまで利用者さんへの聞き書きから、私が管理者になってからのすまいるほーむで日々営まれている風景を描いてきたが、今回はそんなすまいるほーむがどういった経緯で作られ、今に至っているのかについて、すまいるほーむを起ち上げた本社・有限会社ユニットの社長である村松誠さん=写真=への聞き書きから、まとめてみたいと思う。

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執筆者プロフィール
六車由実
六車由実 1970年静岡県生まれ。民俗研究者。デイサービス「すまいるほーむ」管理者・生活相談員。社会福祉士。介護福祉士。2008年に東北芸術工科大学准教授を退職し、静岡県東部地区の特別養護老人ホームの介護職員に転職。2012年10月から現職。「介護民俗学」を提唱し実践する。著書に『神、人を喰う』(第25回サントリー学芸賞受賞)、『驚きの介護民俗学』(第20回旅の文化奨励賞受賞、第2回日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞)。
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