発展速度を早めるインドで日本はなにができるのか 2 インドを動かす意外な力――官僚制、州政府、左翼

執筆者:本誌取材班 2006年9月号
カテゴリ: 国際 金融

 今年六月、独フォルクスワーゲン(VW)はインド北部のパンジャブ州に自動車工場の建設を決めた。VWが当初、進出を目論んでいたのは、南部のアンドラプラデシュ(AP)州だったが、こちらは昨年発覚した汚職事件で水に流れた。AP州側の企業誘致担当者とVWの子会社幹部の間に不明朗な金銭のやりとりが発覚し、印独両国で一大スキャンダルとなったのだ。「個別の外国企業の誘致は各州政府の仕事」。インドの経済政策の絵図を描く計画委員会の首席顧問、プロナブ・セン氏はそう断言する。インドに進出する外国企業は増加の一途だが、一方で、インド各州の間では誘致競争が激化している。 州政府が企業に用地の提供や道路の整備、州税面での優遇といったインセンティブを与えることは、もはや常識。VW汚職の場合、子会社の役員が合弁企業への出資金名目でAP州側から資金を引き出していた。 規模はともかく、州政府レベルではこの種の腐敗は珍しくない。ニューデリーを拠点とするジャーナリストは、「中央政府は何をどうしてもなかなか動かないが、州政府となると、よくも悪くも裏のルートが機能する」と明かす。 中央政府の高級官僚は、英国統治時代の名残もあり、高度成長期の日本のキャリア官僚以上に能力が高く、責任感も強いと言われる。だが、州以下の地方自治体となると話は別だ。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順