日本航空「長く果てしない無責任経営」の終章

執筆者:吉野源太郎 2006年10月号
エリア: 日本

分れ目は二〇〇三年だった。改革を断行したANA、「JAS統合」で安心したJAL。いま、その差は“無限大”に――。 日本航空(JAL)がまた株主を怒らせてしまった。二〇〇六年三月期の有価証券報告書の中で、同社が今春、発表した中期経営計画(中計)の数値目標を撤回したからだ。 中計では例えば〇九年三月期の株主資本利益率(ROE)は六・五%などと年度ごとに利益目標が明示されていたが、それらが「中長期的なROEの向上」というような抽象的表現に改められた。海外での訴訟リスクを回避するためだという。「計画達成は最初から無理だと分かっていた」。市場には冷ややかな見方も多いが、では日本ならリスクのある数字を掲げて増資をしてもかまわないのか、と株主が怒るのも当然だ。 やることなすこと、JALは変調を来しているように見える。そのためか、国土交通省の七階にある航空局周辺があわただしくなってきた。「救済のために政府系金融機関との水面下の調整が始まったようだ」「新首相の最初の仕事がJALの処理になるのではないか」 関係者から様々な情報が伝わってくる。火のないところに煙は立たない。七月に実施した異様な増資でJALは病状の深刻さを見せつけた。

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執筆者プロフィール
吉野源太郎 ジャーナリスト、日本経済研究センター客員研究員。1943年生れ。東京大学文学部卒。67年日本経済新聞社入社。日経ビジネス副編集長、日経流通新聞編集長、編集局次長などを経て95年より論説委員。2006年3月より現職。デフレ経済の到来や道路公団改革の不充分さなどを的確に予言・指摘してきた。『西武事件』(日本経済新聞社)など著書多数。
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