「原油価格」でロシアを追い詰める「新冷戦」の構造

 国際原油価格がじわじわと下落していることに、ロシアが戦々恐々としている。ロシアのノバク・エネルギー相は9月16日、突然ウィーンの石油輸出国機構(OPEC)本部を訪れ、OPEC幹部と会談したが、目的は原油価格下落に歯止めをかけるためといわれる。エネルギー関係者は、世界的な石油のだぶつきと需要減で、原油価格は今後2-3年、1バレル=70ドル台で推移する可能性があるとみている。その場合、輸出収入の7割が石油・ガスというエネルギー依存のロシア経済は大打撃を受け、国民生活が困窮し、政府批判が高まりかねない。ウクライナ問題に端を発した「新冷戦」の推移は、原油価格がカギを握っている。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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