ハンガリーはEUに反旗:「サウスストリーム」がもたらす亀裂

佐藤伸行
執筆者:佐藤伸行 2014年11月22日
エリア: ヨーロッパ ロシア

 ロシア国営ガスプロムが推進する欧州向け天然ガス・パイプライン「サウスストリーム」建設計画が欧州連合(EU)を揺さぶり続けている。エネルギーの対露依存の低減を目指す欧州委員会は、ウクライナを迂回してロシア産ガスを送り出すサウスストリームの通過国に建設中断を求めているが、急速な対露接近を進めるハンガリーが造反、EUの承認がなくとも建設を可能とする法律が最近、議会で可決された。

 一方、ブルガリアとオーストリアは、EUのルールに沿った形でのパイプライン建設を目指す方針で合意するなど、EU各加盟国が独自の利害で動く図柄が浮き上がりつつある。プーチン露大統領はEUエネルギー政策の足並みを乱す武器としてサウスストリームを駆使しているかのようだ。

 

オルバンの反逆

 サウスストリームは黒海の海底を経てブルガリア、セルビア、ハンガリー、オーストリア、スロベニア、イタリアを結ぶ総延長約2400キロの長大なルートだ。

 当初計画では2018年末に全面稼働し、年間630億立方メートルの輸送能力を持つとされる。その場合、現在のウクライナ経由の輸送量の大半をカバーすることになり、欧州向けガス供給網における「ウクライナ外し」が一気に進行することになる。

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執筆者プロフィール
佐藤伸行
佐藤伸行 追手門学院大学経済学部教授。1960年山形県生れ。85年早稲田大学卒業後、時事通信社入社。90年代はハンブルク支局、ベルリン支局でドイツ統一プロセスとその後のドイツ情勢をカバー。98年から2003年までウィーン支局で旧ユーゴスラビア民族紛争など東欧問題を取材した。06年から09年までワシントン支局勤務を経て編集委員を務め退職。15年より現職。著書に『世界最強の女帝 メルケルの謎』(文春新書)。
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