病気を治すのは「いのちの力」
病気を治すのは「いのちの力」(8)

「病院」「開業医」連携のための「お中元作戦」

執筆者:髙本眞一 2015年1月17日
カテゴリ: 医療 社会

  三井記念病院は、周辺の開業医の先生方から見ると、かなり敷居が高く、どちらかというと地域の開業医の先生方との連携は、少ない方でした。
   
 当院の医師は良い意味でも悪い意味でもプライドが高く、自分の治療方法に自信を持っているのだと思います。開業医の先生に逆紹介することを躊躇する医師がいたことも事実です。ですから以前は、地域の開業医の先生方から患者さんを紹介される、あるいは、患者さんを戻すという逆紹介もあまり行われていませんでした。

  けれども今、地域で中心的に機能する基幹病院で初診から完治までを見届ける医療ができなくなっています。昔は、交通事故による外傷など急性期疾患患者がメインでしたので、基幹病院に運ばれ、入院して、完治、その後、定期検診という流れができていたのですが、近年の急激な高齢化による疾病構造の変化で、糖尿病やがんなどの慢性期疾患の患者が急増し、完治のない通院の医療が当たり前になりました。

  本来、慢性期疾患であれば、開業医の医師に診てもらいきめ細かい医療を提供されるのが一番いいはずなのですが、日本では、医療分野の細分化が進むとともに人々の間に専門科医志向が高まり、高い専門性を有する医師のいる大病院に患者さんが集まる傾向が強くあります。そこで現在、基幹病院はパンク状態になっています。大きな有名病院の外来待合室が、診察を待つ新しい患者さんでごった返している光景を見て、驚かれる方も多くいらっしゃるかと思います。

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執筆者プロフィール
髙本眞一 1947年兵庫県宝塚市生れ、愛媛県松山市育ち。73年東京大学医学部医学科卒業。78年ハーバード大学医学部、マサチューセッツ総合病院外科研究員、80年埼玉医科大学第1外科講師、87年昭和病院心臓血管外科主任医長、93年国立循環器病センター第2病棟部長、97年東京大学医学部胸部外科教授、98年東京大学大学院医学系研究科心臓外科・呼吸器外科教授、2000年東京大学医学部教務委員長兼任(~2005年)、2009年より三井記念病院院長、東京大学名誉教授に就任し現在に至る。この間、日本胸部外科学会、日本心臓病学会、アジア心臓血管胸部外科学会各会長。アメリカ胸部外科医会(STS)理事、日本心臓血管外科学会理事長、東京都公安委員を歴任。 ↵手術中に超低温下で体部を灌流した酸素飽和度の高い静脈血を脳へ逆行性に自然循環させることで脳の虚血を防ぐ「髙本式逆行性脳灌流法」を開発、弓部大動脈瘤の手術の成功率を飛躍的に向上させたトップクラスの心臓血管外科医。
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