芸大の学生に伝えたかった芸術家として生きる技術

執筆者:インゴ・ギュンター 2007年4月号
カテゴリ: 文化・歴史

 日本語をほとんど解さない私を一年間客員教授として迎え、学部生と大学院生を任せてくれた東京芸術大学音楽学部の「勇気」に、まずは感謝したい。 幸運であり、同時に悩ましくもあったのは、教える科目が「芸術」だったことだ。美術史を教えるなら話は別だが、そもそも芸術とは何であるか、定義さえ難しいものを教えようというのだ。芸術は科学ではないし、必ずしも知的活動や努力の成果である必要もない。芸術は「起こる」ものである。 絵画や彫刻といった技術なら、ある程度教えることはできる。しかし、現代の芸術はインスタレーション(展示)やメディアアートなどあらゆる領域に広がっている。それを教えることなど可能なのか? 成績をつけることはできるのか? こうした疑問が湧くのは当然だ。

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執筆者プロフィール
インゴ・ギュンター メディア・アーティスト。1957年生れのドイツ人。ゲーテ大学で、民族学と文化人類学を専攻するとともに、デュッセルドルフのアート・アカデミーでヨーゼフ・ボイスに師事。その後、ナム・ジュン・パイクのアシスタントをしながら、ビデオアートを学ぶ。地球儀をキャンパスに世界情勢を描く手法で知られ、その作品は1994年から99年までの6年間、フォーサイトの表紙を飾った。フォーサイトのフェイスブックの表紙も最近の地球儀アートの1つ。2006年から07年に東京芸術大学客員教授を務めた。
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