ロシアを牛耳る「サンクトペテルブルク派」の解剖

執筆者:名越健郎 2008年2月号
エリア: ヨーロッパ

史上に例のない、一地域の出身者が政権を固めるロシア。異常現象の中で、内部抗争や近親憎悪が広がり始めた。 かつてはレニングラードと呼ばれたロシアの古都サンクトペテルブルク。市内を流れるネバ川に近い市庁舎は、一九一七年のロシア革命時に亡命先から戻ったレーニンが革命本部を設置し、ソビエト政権の樹立を宣言した由緒ある建物だ。帝政時代の貴族女学校で、現在は改修され、マトビエンコ市長ら市の幹部が執務する。 九一年から五年間、旧ソ連国家保安委員会(KGB)上がりのプーチンもこの市庁舎三階にオフィスを構え、恩師のサプチャク市長の下で第一副市長兼対外関係委員会議長として采配を振るった。プーチンの執務室と並んで、現在政権に名を連ねるズプコフ首相、セチン大統領府副長官、メドベージェフ第一副首相、チューロフ中央選管委員長、クドリン財務相、ナルイシキン副首相ら、対外関係委員会のメンバーがオフィスを持っていた。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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