胡錦濤が難儀する「調和なき分裂社会」の舵とり

執筆者:藤田洋毅 2008年6月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

訪日は何事もなく終わったが、チベット問題では世界の非難を浴び続ける。「荒っぽく未熟」な対応しかできない部下たちばかりでは――。「笑顔が印象的な、かわいいおじいちゃんじゃない!?」 革命元勲の末娘で、自身も中国共産党中央の職務から退いたばかりの女性老幹部が、思わず洩らした。訪米中に会見するダライ・ラマの映像を、衛星放送を通じて見た時だった。党は官製メディアを総動員してダライ・ラマを「悪魔化」するキャンペーンを展開し、若者を中心とする反欧米運動にまで火をつけたが、足元からも疑問の声が出ている。現役幹部の一人は言い切った。「わが党の手法は、実に荒っぽい。不成熟(未熟)としか言いようがない」 三月十四日にチベット自治区の区都ラサから広がった騒乱事件の「黒幕にして総指揮を執ったダライ集団」に対し、胡錦濤指導部は一歩も引かない構えに見えた。しかし実際には、“不成熟”を自認する胡指導部はチベット亡命政府との水面下の接触を続けていた。チベット側も、訪米中のダライ・ラマ自身が胡総書記宛てに書簡を送ったと明かした。「現在の(中国の)指導集団の中ではチベットの実情に詳しい。ぜひとも会ってみたい」とまで語っているという。

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