インテリジェンス・ナウ
インテリジェンス・ナウ

文書からも高濃縮ウランを検出 米朝が繰り広げる神経質な情報戦争

春名幹男
執筆者:春名幹男 2008年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米 朝鮮半島

 北朝鮮が核計画の申告書を提出。それを受けてブッシュ米政権は北朝鮮の「テロ支援国指定」の解除手続きを開始――という一連の動きに対し、日本の知識人もメディアも厳しく批判している。 だが、その裏で神経質な情報戦争が繰り広げられつつあることを日本の大手メディアはほとんど伝えていない。 まず、北朝鮮が米国に手渡した寧辺の黒鉛減速炉などでのプルトニウム生産に関する一万八千八百二十二ページの稼働記録文書だ。 北朝鮮が五月、米側に引き渡したこの分厚い文書を米情報機関は綿密に調べた。米中央情報局(CIA)やエネルギー省情報・防諜部の専門家が駆り出されたとみられる。 文書に書かれた内容だけでなく、一ページごと紙質を調べ、何か微粒物質が付着していないか検査したのだろう。恐らく指紋の検出も試みたに違いない。 その結果、驚いたことに、微量の高濃縮ウランが文書から検出されたのである。 実は、米情報機関が高濃縮ウランを北朝鮮の機器から検出したのはこれが初めてではない。昨年末、「ウラン濃縮用遠心分離機の機材か」と問題になったアルミ管からも濃縮ウランが発見された。このアルミ管は、北朝鮮がロシアから調達した。北朝鮮側はミサイル用だと主張し、昨年米外交官をミサイル製造施設に招き、アルミ管のサンプルを米国に持ち帰らせた。米国内の研究所で調べたところ、濃縮ウランが付着していた。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順