中東―危機の震源を読む
中東―危機の震源を読む(59)

「オバマへのノーベル賞」米国・中東の受け止め方

池内恵
執筆者:池内恵 2009年11月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

[ワシントン発]十月の初めからワシントンDCに来ている。二カ月半ほど、ウッドロー・ウィルソン国際学術センターに客員研究員として滞在する。米連邦議会議事堂のすぐ裏の、キャピトル・ヒル地区に部屋を借りた。窓からは議会図書館の本館「ジェファーソン館」のドームが見える。 ワシントンDCに集中する政策シンクタンクや大学の研究所で交わされる中東をめぐる議論に参加しつつ、議会図書館の中東関係資料をじっくり活用してみようというのが今回の滞在の一つの目的である。 受け入れ先のウィルソン・センターに提出した研究テーマは「オバマ政権の対中東政策」である。 これは「研究」のテーマとしてはまだ熟していない。オバマ政権は発足直後から活発に中東政策をめぐる「理念」を打ち出してきたが、具体的な「政策」が出揃っているわけでもなく、ましてやその成果が出るのはもっと先になる。むしろ、ワシントンで政策が形成されていく過程の議論を身近に見聞きしておくのが最大の目的である。外交の焦点は「アフパク問題」 ワシントンに到着早々、オバマの中東政策をめぐる議論が活発に交わされる機会に立ち会えた。米時間で十月九日早朝に発表された、オバマへのノーベル平和賞授与である。まさに寝耳に水で、同僚の研究員たちとも話が弾んだ。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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