「価格破壊」の後に来るもの

執筆者:中上川達 2001年6月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

必要なのは高度サービス社会への構造改革 たこ焼、湯葉、きんぴら……。いずれも日本の伝統的な和食だが、実は最近は中国製が急増している。冷蔵、冷凍など様々な形で輸入されており、今や日本の食卓には中国産が広く、深く浸透している。中国なくして日本人の食生活は成立しないと言っても良い。 中国だけではなく、食品だけでもない。ベトナムやパキスタン、インドネシアなどアジアを中心に安い食品や衣料品、家庭用品、家電製品などが大量に日本に流入しており、それが昨今のデフレの大きな背景になっている。 中国の従業員の賃金は月収にして一万―一万五千円程度。奥地の農村周辺では月給七、八千円のところも多く、中国の人件費は日本の十分の一―三十分の一になる。かつては「安かろう、悪かろう」の商品が多かったが、日本人技術者のきめ細かい指導などにより品質が急速に向上し、今や日本製品を上回る品質の商品も珍しくない。 農業や工業の海外移転で農地や工場用地も大量に余りだし、日本の地価を押し下げている。産業の空洞化で日本人の雇用も減少、賃金も低下傾向だ。それが消費者の低価格志向を強める一方、コストの低下が商品単価を引き下げている。 実際、二〇〇〇年度の全国消費者物価指数が生鮮食品を除く総合で三年連続のマイナスとなった。一九七一年度以降初めてのことだ。スーパーや百貨店の前期決算を見ても商品単価が前の期に比べ三―五%低下した。中国製品が九割を占めるカジュアルウェア「ユニクロ」などの広がりで衣料品は年間一〇%も下がっている。

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