「テロ封じ」を口実にされるウイグル族の苦悩

執筆者:浅井信雄 2002年1月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史

 二〇〇一年六月、中国北西部の新疆ウイグル自治区の大学で学生同士の大規模な衝突があった。襲ったのは中国の主要民族の漢族系学生、襲われたのは少数民族のウイグル系学生だが、自治区内の学園における過去十年間で最大の民族騒乱といわれる。 事件の直後、北京の中国社会科学院は「中国西部は今後二十年間の最も深刻な安全保障上の脅威で、その深刻度はチベット以上だ」との評価を示した。脅威の要因として、石油の供給源、イスラム原理主義、国境管理の不備、の三つが指摘される。 忘れられた貧困地域ともいえる同自治区はいま、石油開発と鉄道敷設と漢族移住という国家的大事業の舞台である。そこでの民族騒乱は、ソ連崩壊後の中央アジア全域住民が、新たなアイデンティティを求めつつ、時代の急変に抱く不安の発露と解釈される。

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