中国が台湾の「AIIB参加」を拒んだ理由

野嶋剛

 中国政府は4月13日、台湾のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を当面認めないとの判断を下した。これで台湾はいわゆる「創始国メンバー」に入れないことが確定した。現時点で中国政府にこの件を決定する「権限」があるのかどうかにも疑問が残らないではないが、もともと中国側は台湾の参加を拒否しない意向を示しており、台湾もだからこそ参加を申請した。しかし、中国が極めて重視する「1つの中国」に関わる台湾の名称問題が絡むため、AIIBだけの問題でなくなり、メンバーが確定して合議制になって決定権を発揮しづらくなる前に、とりあえず参加を凍結せざるを得なくなったと見られる。
 中国側は、「台湾が適切な名称で参加することを歓迎する」と表明しているように、台湾の参加自体を拒んだわけではない。しかし、台湾問題においては常に「適切な名称」のあり方がトラブルの種になってきた。日本でも昨年、「國立」を故宮展の名前に付けるかどうかをめぐり、台湾側の抗議で展覧会の延期寸前までこじれた事態につながったことは記憶に新しい。
「台北故宮の日本展で浮上した『國立』という名称問題」2013年10月26日
「『國立問題』その後:台湾総統夫人の仕切り直し訪日の意味」2014年8月3日

執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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