インドネシア「やり手女性起業家」大臣がリードする「海洋国家」構想

執筆者:川村晃一 2015年6月4日
エリア: アジア

 5月20日、インドネシア政府は、違法操業をしていたとして拿捕した外国籍の漁船41隻を爆破して沈没させた。昨年10月に発足したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権は、IUUと略される「違法(Illegal)、無報告(Unreported)、無規制(Unregulated)」漁業の取締りを強化している。違法操業船に対する爆破沈没の措置は、この政策の一環である。政府は、ベトナム、タイなどの送り出し国から強い懸念が表明されているにもかかわらず、12月以降数度にわたってこの措置を断行してきた。

 今回の爆破措置の対象には、ベトナム、タイ、フィリピンなどに加えて、初めて中国船籍の漁船が含まれていた。そのため、インドネシア政府の中国に対する姿勢に変化が生じたのではないかとの報道も見られた。しかし、それはあまりに短絡的な見方である。

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執筆者プロフィール
川村晃一(かわむらこういち) 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 海外調査員(インドネシア・ジャカルタ)。1970年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、ジョージ・ワシントン大学大学院国際関係学研究科修了。1996年アジア経済研究所入所。2002年から04年までインドネシア国立ガジャマダ大学アジア太平洋研究センター客員研究員。2024年からインドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)客員研究員。主な著作に、『教養の東南アジア現代史』(ミネルヴァ書房、共編著)、『2019年インドネシアの選挙-深まる社会の分断とジョコウィの再選』(アジア経済研究所、編著)、『新興民主主義大国インドネシア-ユドヨノ政権の10年とジョコウィ大統領の誕生』(アジア経済研究所、編著)などがある。
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