経済の頭で考えたこと (77)

AIIBはどうなる?「国際制度作り」でも後退する中国

執筆者:田中直毅 2015年9月14日
エリア: アジア

 前回は中国経済の成長が屈折せざるをえない不可避性について述べた。今回は国際制度づくりへの関与能力の低下について記述する。
 米国が第2次大戦後担ってきた国際システムへの挑戦という角度から、アジアインフラ投資銀行(AIIB)やシルクロード基金を通じての「一帯一路」構想がとりあげられることもあった。またその前には上海協力機構やBRICS銀行の設立もあった。いずれも世界第2位の経済大国になった中国による、米国の覇権主義への対抗という側面からの把握が先走っていたように思われる。しかしこうした立論が継続的に成立するためには以下に掲げる5つの要件が必要不可欠であった。

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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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