難民問題:「存在感のないフランス」と「ドイツの打算」

国末憲人

 主にシリアの戦火を逃れた難民が次々と欧州に到達している問題で、欧州連合(EU)は各国で分担して計16万人の難民を受け入れると決めた。ドイツが主導し、フランスが同調し、他の国々を巻き込んだ方針である。渋る旧東欧諸国では反発がくすぶっており、議論が収まるとは考えにくい。もっとも、独仏などでは自治体レベルでの実務が動き始めており、受け入れに向けた流れは止めがたい。

 言うまでもないが、難民問題はまず何よりも人道上の問題であり、人命優先で取り組む必要がある。国や地域の枠を超えた関与も必要だ。その意味で、EUの受け入れは理にかなっている。

 ただ、難民問題が人道面からのアプローチだけでは済まないのも現実である。大規模な人の移動は政治的な側面を多分に持つ。受け入れる側の経済的な影響も甚大だ。

 欧州各国の対応も、人道的な使命感や義務感からだけでは読み解けない。政治経済面の計算や思惑を考慮しつつ、現在の流れが生まれた背景を考えてみたい。

 

ドイツの本音

 難民の受け入れを早々と表明し、EU内でイニシアチブを取ったドイツのハンス・カール・フォン・ヴェアテルン駐日大使は9月18日、日本記者クラブで会見し、その事情を説明した。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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