米「下院議長選挙」出馬を巡るポール・ライアン氏の「ジレンマ」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2015年10月23日
エリア: 北米

 9月下旬、妊娠中絶を行っている非営利団体に対する連邦助成金を廃止する条項を2016会計年度予算案に盛り込むよう、保守派の共和党下院議員が党指導部に強硬に求め、同予算案を巡る対立が深まっていた。第112議会(2011年1月~2013年1月)から現在まで下院議長を務めてきたジョン・ベイナー氏(共和党、オハイオ州第8区選出)が、ローマ法王フランシスコが米議会上下両院合同本会議でローマ法王として初めて演説を行った翌日の9月25日、下院議長職のみならず24年間在職してきた下院議員も10月30日付で辞任する意向を突然表明したことは、以前取り上げた(2015年9月29日「ベイナー下院議長『辞任』で進む米共和党の保守化」参照)。

 ベイナー氏の辞任表明から早くも約1カ月が経過しようとしている。だが、党内の次期下院議長選出プロセスが漂流する中、ベイナー氏は後任が決まるまで議長職に留まる意向を示しており、下院共和党は依然として保守派勢力と穏健派勢力とが分裂し、混乱状態の中にある。

 

マッカーシー下院院内総務の立候補辞退

 ベイナー氏が辞任する意向を表明したのに続き、後任として確実視されていた下院共和党指導部ナンバー2のケヴィン・マッカーシー共和党下院院内総務(カリフォルニア州第23区選出)も、下院共和党の超保守派議員約40名で構成されるグループ「フリーダム・コーカス(Freedom Caucus)」の反発を受け、下院議長選出に必要な支持を確保できる見通しがつかなくなったため、10月8日、議長選立候補を見送る事態に追い込まれた。ベイナー氏の辞任表明からわずか2週間ほど後の出来事であり、いかに下院共和党指導部が厳しい立場に置かれているかを示している。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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