「崩壊」は自動車だけではない「三菱最強伝説」の虚構

執筆者:杜耕次 2016年5月27日
ゴーン氏はともかく、益子氏は笑っている場合ではないだろう(C)時事

 

 日産自動車による出資額2370億円のM&A(買収・合併)によって瞬く間に収束した感のある、三菱自動車の燃費データ不正問題。しかし、5月12日の記者会見で、日産社長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン(62)と握手した際の三菱自会長兼CEO、益子修(67)の笑顔に釈然としない思いを抱いた関係者は少なくない。リコール(回収・無償修理)隠しや大型トレーラーのタイヤ脱輪による母子3人死傷事故などが引き起こした過去の危機では、支援の手を差し伸べた三菱「御三家」(三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行)さえ、今回は「3度目はない」と見放した。そんな自動車メーカーが救済されたことを、主力工場を抱える自治体や政府は両手を挙げて歓迎しているが、果たしてこんな腐りきった会社を救う価値があったのか。

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