[憲法9条]

紛争の現場から見る「憲法9条」「交戦権」

伊勢崎賢治
執筆者:伊勢崎賢治 2016年11月4日

 2000年7月、東ティモール。筆者はここで、ある決断を下した。
 当時私は、国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)の上級民政官として、同国コバリマ県の県政を指揮する立場にあった。事実上の県知事である。
 前年、住民投票により東ティモールのインドネシアからの独立が事実上決定したが、インドネシア国軍と独立反対(併合維持)派民兵が破壊活動や虐殺を行ったため、国連が事態の収拾に乗り出した。インドネシアは東ティモールの主権を暫定的に国連に移譲し、国連はUNTAETによる本格的な国づくりと治安維持を並行して行う、いわゆる「総括型PKO」が、ここで行われていた。
 筆者が赴任したコバリマ県はインドネシアとの国境に近く、独立反対派民兵によるテロ活動は激しいものがあった。ニュージーランド軍の歩兵大隊約700名、パキスタン軍の施設大隊約700名が筆者の麾下にあり、PKF(国連平和維持軍)として活動していた。

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執筆者プロフィール
伊勢崎賢治 東京外国語大学大学院教授。1957年東京生まれ。内戦初期のシエラレオエネを皮切りにアフリカ3カ国で10年間、開発援助に従事し、その後、東ティモールで国連PKO暫定行政府の県知事を務め、再びシエラレオネへ。同じく国連PKOの幹部として武装解除を担当し内戦の終結に貢献する。その後、アフガニスタンにおける武装解除を担当する日本政府特別代表を務める。著書に『新国防論 9条もアメリカも日本を守れない』(毎日新聞出版)、『本当の戦争の話をしよう:世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社)、『日本人は人を殺しに行くのか:戦場からの集団的自衛権入門』(朝日新書)、『武装解除』(講談社現代新書)など。最新刊に『テロリストは日本の「何」を見ているのか』(幻冬舎新書)。
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