饗宴外交の舞台裏 (227)

「マイナーワイン」が繋いだ前代未聞の「多国間親善」

執筆者:西川恵 2017年4月21日
エリア: ヨーロッパ アジア
モルドバの大使夫妻(左の2人)と参加者(筆者撮影)

 

 外務省が黒海地域など4カ国の駐日大使館と共催で、日本ではほとんど知られてない4カ国のワイン紹介イベントを開いた。ふだんは日本ワインの素晴らしさを外国に売り込んでいる外務省としては、珍しい企画だった。

 このイベント「ワインは友情を深める(Wine Warms Friendship)」は4月13日夜、東京都内のホテルで開かれた。

 黒海地域のアゼルバイジャン、ジョージア(旧グルジア)、モルドバの旧ソ連邦の3カ国に、地中海沿岸のチュニジアを加えた4カ国が参加した。これらの国の共通項は「マイナーなワイン生産国」。もっともこれは日本人に馴染みが薄いという意味で、ワイン生産ではいずれも数千年を超える歴史をもっている。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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