軍事のコモンセンス (23)

「脅威対抗防衛力」と「基盤的防衛力」

昨年10月に行われた、自衛隊記念日観閲式(陸上自衛隊HPより引用)

 

 1976(昭和51)年から2004(平成16)年までの28年間、日本の防衛力は「基盤的防衛力構想」に基づいて構築されてきた。しかし、ミサイル防衛を導入した「16大綱」(平成17年度以降に係る防衛計画の大綱)では「基盤的防衛力構想の有効な部分は継承しつつ」という文言が残ってはいたものの、脅威対抗防衛力への変換が行われ、6年後の「22大綱」では「基盤的防衛力」という言葉は完全に消えてしまった。さらに「25大綱」以降の現代では、一般国民はもとより現職自衛官・退職自衛官同士の会話においてすら、この言葉を使う者がいなくなった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
冨澤暉(とみざわひかる) 元陸将、東洋学園大学理事・名誉教授、財団法人偕行社理事長、日本防衛学会顧問。1938年生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。米陸軍機甲学校に留学。第1師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監を経て、陸上幕僚長を最後に1995年退官。著書に『逆説の軍事論』(バジリコ)、『シンポジウム イラク戦争』(編著、かや書房)、『矛盾だらけの日本の安全保障』(田原総一朗氏との対談、海竜社)。
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