EUの辺境「ブルガリア」から(上) やせ細る国家

ブルガリアの象徴、世界遺産の「リラの僧院」(筆者撮影、以下同)

 

 欧州連合(EU)といえば、ドイツのメルケル政権とフランスのマクロン政権との間の連携、英国の離脱騒動、ブリュッセル(ベルギー)を舞台にした政策の駆け引きなど、主要国と欧州委員会の動向ばかりが普段注目を集める。一方で、加盟国でありながら日本のニュースにほとんど登場しない国も少なくない。

 ブルガリアは、後者の典型だろう。島国のキプロスをのぞくとEUの東の端にあたり、欧州内でも話題にのぼることは少ない。加盟28カ国で最も貧しく、繁栄と発展から取り残された感が拭えない。EUの加盟国間の格差を象徴する存在でもある。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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