消費増税でも「国民負担率は横ばい」という財務省の「印象操作」

執筆者:磯山友幸 2019年3月5日
エリア: アジア
財務省が「印象操作」のために公表したグラフの1つ(財務省HPより)

 

 統計不正問題で国会が揺れる中、財務省が「いわく付き」の統計を2月28日に発表した。国民所得に占める税と社会保障負担の割合を示す「国民負担率」である。

 2019年度の国民負担率は42.8%と、2018年度に比べて横ばいになるとしている。10月に消費増税が控えているにもかかわらず、好景気で所得が増えるので負担は変わらない、というのである。

 この統計を「いわく付き」と言ったのは、財務省は常に次年度の「見通し」を強調して発表し、しかも3月末で終わる「実績見込み」と比較するのだが、この「見通し」も「実績見込み」も当たったためしがないからである。常に、実績よりも低く見積もられているのだ。そして「実績」については、ほとんど触れない。

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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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