イエメン紛争:停戦の行方を握る「フーシー派抑止」の集団指導体制

執筆者:村上拓哉 2022年7月4日
タグ: 紛争
エリア: 中東
ラシャード・アリーミーPLC議長のポスターの前で警護に当たる兵士(C)AFP=時事
 
「世界最大の人道危機」が続く紛争下のイエメンで3カ月も停戦が続くのは初めてのことだ。いつ戦闘が再開するとも限らない状況の中で、フーシー派への抑止力を期待されるのが、新たに発足した集団指導体制の「大統領指導評議会」である。

 2015年から7年以上続くイエメン紛争は、今年に入り新たな転換点を迎えている。国連の仲介により4月2日から2カ月間の停戦が発効し、6月2日にさらに2カ月間停戦を延長することで合意された。イエメン紛争では過去にも停戦が成立することはあったが、いずれも早々に停戦状態が崩壊しており、今回のように長期にわたって停戦合意が概ね順守されているのは初めてのことである。

 また、2012年から大統領の座にあったアブドラッボ・マンスール・ハーディーが4月7日に辞職し、新たに発足した大統領指導評議会(Presidential Leadership Council: PLC)にすべての大統領権限を移譲することが発表された。議長を含む8名で構成されるPLCは、反政府勢力フーシー派と対立するイエメンの各勢力が入れられており、これが新たな統治機構として機能していくかが大きな焦点となっている。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
村上拓哉(むらかみたくや) 中東戦略研究所シニアフェロー。2016年桜美林大学大学院国際学研究科博士後期課程満期退学。在オマーン大使館専門調査員、中東調査会研究員、三菱商事シニアリサーチアナリストなどを経て、2022年より現職。専門は湾岸地域の安全保障・国際関係論。
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