【Factbox】チャンドラヤーン3号やアディティヤL1の次は?(インド宇宙計画の今後や過去ミッション総まとめ)

2023年9月19日
タグ: 宇宙 インド
エリア: アジア
2023年8月5日に月軌道へ投入されたチャンドラヤーン3号着陸機から見た月の様子[8月6日公開のビデオより](C)REUTERS / ISRO
インドは8月下旬、月探査機チャンドラヤーン3号の月面着陸を成功させ、月の南極付近への着陸といった歴史的快挙を果たした。9月2日に打ち上げられたアディティヤL1では、太陽と宇宙天気に及ぼす影響を研究するミッションが始まる。(こちらの関連記事も同時配信します)

[ベンガルール発/ロイター]宇宙大国として台頭を示すインド宇宙研究機構(ISRO)の今後の主な活動や、過去の取り組みを紹介する。

※原文配信時の情報を編集部で適宜更新してあります。

太陽観測衛星「アディティヤL1」

 9月2日に打ち上げられたアディティヤ L1(Aditya=サンスクリット語で「太陽」)は、インド初の太陽観測衛星となった。太陽と地球の引力が釣り合う位置のラグランジュ点L1(地球から約150万キロ)で太陽周回軌道に入る。引力のバランスによって、ラグランジュ点に置かれた衛星は安定し燃料消費を抑えることができる。

 アディティヤ L1のミッションは、太陽の活動や、太陽活動が宇宙天気へ及ぼす影響をリアルタイムで観測することを目的としている。

 インド政府は2019年に、アディティヤL1ミッションのために約4600万ドル(約68億円)相当額を承認した。ISROから最新の予算は公表されていない。

宇宙船「ガガンヤーン」

 インド初の有人宇宙飛行ミッション、ガガンヤーン(Gaganyaan=サンスクリット語で"Gagan"は「空」、"yaan"は「船」)では、3人の宇宙飛行士を高度400キロの軌道上に投入し、3日間の飛行の後、インドの水域に着陸させることを目指す。

 ISRO最大の施設ヴィクラムサラバイ宇宙センターにて、乗員用モジュールを安定させ、大気圏再突入時に安全減速させるシステムの試験に成功したとISROは述べている。

 今年初めに科学技術副大臣Jitendra Singh氏は、ガンガヤーンのために約902.3億ルピー(10.8億ドル)の予算が配分されたと発表した。ISROはガンガヤーンの完成後、宇宙で持続的な人間活動を実現することを焦点に活動を進めると述べている。

 正式なミッション開始日は発表されていないが、2024年にミッションの準備が整う見込みだとISROは述べている。

地球観測衛星NASA-ISRO合成開口レーダー(NISAR)

 NASA(アメリカ航空宇宙局)とISROが共同開発する地球低軌道の観測システム。NISARは12日ごとに地球全体をマッピングし、生態系、氷の質量、植生の生物量、海水位、地下水などの変化や、地震、津波、火山活動、地滑りなどの自然災害を理解するためのデータを提供する。

 NISARはSUV車ほどのサイズで、来年の第1四半期にインドから打ち上げられる計画となっている。打ち上げ目標は1月に設定されている。

X線偏光衛星X-RAY POLARIMETER (XPoSat)

 宇宙X線の放射源を研究するため、偏光分析に特化した初のミッションも計画中だ。

 このミッションは、……

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