アフリカにまたひとつ国ができた。南スーダン共和国。イスラム化を進めるハルツームの政府に弾圧され、ながいあいだ内戦を戦い抜いた末の独立である。
スーダンはアフリカでは珍しい古い歴史をもつ。エジプトを支配していたこともあり、ピラミッド遺跡も存在する。エジプト同様ここも「ナイルの賜物」だ。近代になるとオスマン帝国麾下のエジプトに支配され、そこにイギリスが割り込んだ。空洞化したオスマン帝国のなかでエジプトという隠れ蓑を被ったイギリスの支配下におかれ、それに反抗して一時は大英帝国軍を打ち破って独自政権を建てたこともある。マフディー運動というのだが、これを抑え込む戦いがどんどん拡大して、イギリスはアフリカ大陸を縦断することになった。アフリカ分割の出発点はスーダンにあるのである。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン