お呼びでない? サルコジ前大統領突然参上

執筆者:国末憲人 2012年8月21日
エリア: ヨーロッパ 中東

 在任当時から口は軽かった。前言を翻しても平気だった。とはいえ、政界引退からまさか3カ月で表舞台に戻ってくるとは、誰も予想しなかっただろう。しかも、とんだお騒がせ発言とともに、である。

 フランスのサルコジ前大統領が今月、頼まれもしないのにシリア反政府勢力代表と突然電話会談し、オランド政権に軍事介入を呼びかける声明を発表した。5月のフランス大統領選に敗れて政界から引退し、悠々自適の生活をしているはずの前大統領である。支持母体の右派からは支持の声が出ているものの、対する左派や中道は驚き、あきれている。対シリア戦略を練っていた外交当局は、突然の横やりに「二重外交になりかねない」と困惑している。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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