18世紀後半のイギリスで起こった産業革命は、人類の歴史に劇的な変化をもたらした。科学の進歩を背景に、生産技術の革新によって生産性は飛躍的に伸びた。人びとの暮らしは良くなり、人類は有史以来悩まされてきた問題――貧困――を克服したかのように思われた。
しかし、生活水準の向上は人口を増大させた。また、市場の自由化と拡大が、景気循環という新たな問題を生んだ。特に景気後退の局面で、競争に敗れた者は惨めな生活を強いられ、「豊かさの中の貧困」が現れた。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン
