「トラック2外交」はソフトパワーの源泉

執筆者:田中明彦 2005年9月号
エリア: アジア

 ちょうど北京で六カ国協議が開催されている八月はじめ、同じ北京で開催された安全保障問題を討議する国際会議に参加してきた。こちらは中国の有力シンクタンクである中国現代国際関係研究院の主催で、基本的に民間の会議だが、参加者は奇しくも六カ国協議の参加国と同じ中国、アメリカ、日本、ロシア、韓国、北朝鮮からの専門家であった。 六カ国協議と異なり、切実な課題について合意をもたらすことは必要とされていない会議であるから、それほど切迫感はない。だが、同じような問題を討議していることもあり、六カ国からのそれぞれの参加者の意見の違いを聞くことができて大変有益であった。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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